レディースハット通販ハンドメイド

あしながおじさん

サリーとジューリアとあたしは、土曜日の午前に一緒に買い物に出かけました。ジューリアは、あたしの見るも初めてな、実に目のくらむような立派なお家へはいって行きました。壁が白と金で、空色の絨毯が敷かれて、空色のカーテンがかかって、そうして金鍍金の椅子があるのよ。頭髪の黄色い、黒い絹の裾を長くひいた服を着た実に美しい婦人が、にこやかにあたしたちを出迎えました。あたしはどこかのお家を訪問してるのだと思って、握手をしようと思って手を伸べようとしたのよ。ところが、これはあたしたちが帽子を買ってるところなんです――とにかく、ジューリアはそうでした。ジューリアは姿見の前に腰かけて、幾つも幾つもかぶってみました。どれもみんな前にかぶったのよりも、よく見えてきましたが、中でも一番美しいのを二つ買いました。
姿見の前に腰かけて、値段におかまいなしで自分の気にいった帽子を買うなんて、世の中にこれほどうれしいことはないと思います。本当にそうですよ、おじさん。


毎月送っていただくお金は、わたくしの必要な帽子を買うのに十分でございます。帽子店のことで、ばかげたことを書きまして、申し訳ございません。あんなことを書きましたのは、わたくしが一度もああいう所を見たことがないからなんです。

そして帽子のようなあんなくだらないことに、あんなにまでご心配くださるなんて、あたしあなたをほんとうにご親切なよいお年寄りだと思いますわ。

あたしきれいな帽子やいろんな身のまわりのものは大好きです。けども、自分の将来まで抵当にしてはならないと思いますの。


それから一年生は、長い吹き流しのついた緑色の薄葉紙の帽子をかぶりました。

パッツイ・モライアティ(ほんとはパトリシアという名です。こんな変な名ってあるでしょうか? リペットさんだって、これ以上の傑作はできますまい)というせいの高いやせっぽのひとが、緑色の滑稽な帽子を横っちょにかぶって、ジューリアの奥さんになりました。


あたしひどい旅行熱にかかっていますの。ちょっと地図を見てさえ、帽子をかぶって、雨傘持って出かけたくなります。
「私は死なないうちに、南洋の棕梠と寺院を見物したい。」

あたし新しい帽子をかぶっていますの。これは例の郵便局で二十五セントで買いました。

あたしたちの郵便屋さんは、手紙を配達してくれるばかりでなく、お使い一つが五セントで、あたしたちのためにいろんな町の用をたしてくれますの。きのうあたしは、靴ひもやコールドクリームや(新しい帽子を買わないうちに、日にやけてしまって鼻のあたりの皮膚がむけました)、ブルーのネクタイや、靴墨など、全部を十セントで届けてくれました。十セントなんて、あたしの注文が多かったため、法外に安い取り引きなんです。

ここまで書いた途端に、物すごく大粒の雨が降り出しました。方々の鎧扉はのこらずバタバタ鳴りました。大急ぎであたしが窓をしめに行くと、キャリーは幾つも幾つもミルクのお鍋をいっぱいかかえて、屋根部屋へ飛んで来て、雨もりのする屋根の下に置きました――それから、あたしがまたペンを取ろうとした瞬間、果樹園の木の下へクッションや敷物や帽子やマシュー・アーノルドの詩集などを置いて来たのにふっと気がつきました。そこでそれを取りに駆け出してゆくと、みんなびしょぬれになって、詩集の赤い表紙の色が内側まで流れ込んでいました。

あしながおじさん

若草物語 麦わらぼうし→


inserted by FC2 system