レディース帽子の店

公園のメアリー・ポピンズ

紺のスカートで、まっかなチューリップをふちにつけた新しい帽子をかぶって、きちんと身じまいをした姿で、手にした編み物ごしに、二ひきの犬のほうを見ていました。まっすぐにのばした背を木にもたせて、格子縞のしきものを、まわりの芝生にひろげて、すわっていました。ハンドバッグを、きちんとわきにおいて、頭のうえには、花をつけた枝から、オウムのこうもりがさが、ぶらさがっていました。


「その子は、じっとすわっていたのです。くる日も、くる日も、ガチョウのむれのまんなかで、なにもすることがないので、髪の毛を編んだりほどいたりしていました。ときおり、シダの葉を一枚つみとって、大法官の奥方か、もしかしたら、お妃さまでもするかと思うようなようすで、顔をあおぎました。
時にはまた、花でくびかざりを編んで、小川にうつった姿に、見とれることもありました。そのたびに、その娘は、じぶんの目が青くて――どんなニチニチソウの花よりも青くて――両頬の色は、コマドリの胸のようだと思いました。口の形はといえば――鼻はもちろんのことですが!――われながら感心のあまり、なんといっていいのかわからないくらいでした。」
「あなたのことみたいね。」と、マイケルがいいました。「ものすごく、じぶんでまんぞくだったんだね!」


マイケルは、公園番から、からだをまいている毛皮の腕に目をうつしました。その腕の先は、驚いたことには、けものの足ではないのです――手だったのです。その手は、きちんと手袋をはめています――黒い色ので、三毛のぶちではありません。
マイケルは、けげんそうに、頭をめぐらしました。するとほおが、毛皮のなかにうずまった、ぞうげのボタンにあたりました。マイケルは、そのぞうげでできたボタンのことを、たしかに知っていました! ああ、ほんとでしょうか――? そんなことってあるでしょうか?
マイケルの目は、ボタンから上のほうへすべっていって、きちんとした毛皮の襟までいきました。その襟のうえには、まっかな花飾りをのせた、まるい麦わら帽子がありました。
マイケルは、どっと安心して、長いため息をつきました。うれしいことには、ネコならば、頭にチューリップの帽子をかぶったり、爪にキッドの手袋をはめたりはしません。


レースでふちどりしたハンカチが胸のポケットからのぞいている、じぶんの、新しいピンクのブラウスのことを考えていたのです。それがまた、帽子につけたチューリップと、なんてうつりがいいんだろうと、考えていました。そして、このすばらしい姿を認めてくれる人が、公園にもっとおおぜいいてくれたらと、願わないではいられませんでした。どのベンチにも、どの木かげにも、ほれぼれと見とれている人がいるはずでした。「ほら、あすこに、あの魅力的なミス・ポピンズがいるよ。」と、みんながいっているところを、心にえがきました。「いつも、とても、趣味がよくって、上品にしてるんですよ!」
ところが、あたりには、見ずしらずの人が、ちらほらいるだけで、それぞれ、せかせかと道をいそいでいて、人のことなど気にもとめてはいませんでした。

「でも、あの人たちのとこへは、いかないんでしょ?」マイケルは、メアリー・ポピンズの腕をつかまえて、ゆすぶりました。「ぼくたち、王子さまたちより、あなたのこと、要るんですよ。みんなには、一角獣があるでしょ――それで、いいじゃない。ねえ、メ、メ、メアリー・ポ、ポ、ポピンズ――」マイケルは、口もよくきけないくらい、しんぱいになりました。「や、や、やくそくしてよ、チュ、チュ、チューリップを帽子につけて、もどっていかないって!」

公園のメアリー・ポピンズ

子どもたちは彼女を崇拝しています。

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